研究室生活への向き不向き

おさかなです。ウェブサイトをリニューアルしました。
これまでは海外製のテーマを入れて自分でファイルをいじって日本語化してきたのですが、やはり手間だったので高機能な国産テーマのLION BLOGを導入してみました。
人気のテーマだけあって高機能でカスタマイズしやすいですね。
ただ、他のブログでも数多く使われているため気をつけないと見た目が似てきてしまうのが困りどころでもあります。
一長一短といったところです。

さて、久し振りに研究の話です。
どうやら5月頃から研究室の後輩が来なくなったようで、今も来ていません。
昨年度も後輩が1人研究室に来なくなり、結局は大学院を中退して地方公務員の専門職として勤めています。

ここ3年程、毎年のように学生が来なくなるということが起こっています。
研究室のマネジメントに無理があるのではないかという気もしなくはないですが、過去の記事にも書いたように多少放置が過ぎるというだけで拘束時間はそこまで長くもないですしアカハラもほぼありません。
それでも私も大学院を中退したいと思ったことが度々なので、個人の資質の影響も大きいのではと考えます。
思うところもかなりあり、記事を書いてみることにしました。

研究者に求められる資質

研究者は常に新たな発見を求める仕事で、向き不向きが極めて大きい専門職であるように思います。
大学教員にも個性的な方が多いと思います。
では、研究者に向いていそうかどうかを分ける要素はなんでしょうか。
多くの方が適性をまとめています。

自分が研究に向いているかを知る16の質問
研究者の仕事
大学の研究者になりたい人たちへ

これらをMBTIの目線で見てみましょう。

自立心

自分の頭で考え動くということです。

まだ誰も行っていない研究を進め新規の発見を行うという研究の性質から、個々人で異なるテーマを進めることになります。
つまり指導教員を始めとして他の人の指示に従うというものではなく、自分で考えて判断する必要が出てきます。
これは通常の組織勤めとは大きく異なる要素と言えるでしょう。

これをMBTIの要素で見るとI型(内向型)であるように思います。
つまり。価値の判断基準が自分の中にある人間ということです。

知的好奇心

研究とはこれから新たに教科書に載る内容を作っていくことです。
そのため、時にこれまでの常識を覆すようなアイデアの発想が求められます。
また、予想と外れた際に粘り強く理由や原理を追求しようとする姿勢こそが思いもしなかった大発見に繋がっている場合もしばしばです。
このような姿勢につながる根本が、新たな発見に興奮する知的好奇心であると思うのです。

これをMBTIの要素で見るとN型(直観型)かなと思います。
つまり、思いつきやひらめきを重視し未来に期待する理想主義者ということです。

論理的思考力

自説を展開するにも、客観的な根拠をもとにしていなければ科学とは言えません。
特に実験科学では提唱した仮説が正しいことを実験結果で裏付けなくてはなりません。

これをMBTIの要素で見るとT型(論理型)ですね。
つまり。協調よりも正しさを重んじ真理を追求する価値観ということです。


以上より、MBTIで言うところのINTP型やINTJ型あたりに当てはまる人により適性があるといえそうです。
特にかつては、より良い問題解決策を考えようと粘るINTP型の人々が予想以上の大発見をしてノーベル賞を得るなど成功体験を収めてきました。

大学院生への要求水準

以上に書いたような研究者に求められる能力の水準は大変高いものです。
しかし、給料を貰っている訳ではない(それどころか授業料を払っている)大学院生への要求水準はここまでのものではなさそうです。
周囲の修士課程院生を見ていても、INTP型やINTJ型に当てはまらない人でもなんとか修士論文を提出して修了しているようです。
中退する院生となんとか修了する院生を分ける要素はなんでしょうか。
私は以下の2つであると考えます。

  • 体力と健康な精神があるか
  • 休める時に休めているか

なぜなら、研究は基本的には上手くいかないものだからです。
学部の講義や学生実験とは異なり、研究には正解がありません。
もっと言うと、大学院は学部とは異なり勉強する場所ではないのです。

このため、失敗にめげずに作業を続ける体力と、挫けない健全な精神が求められると思っています。
また研究を休まず頑張ると思っていると、ある日突然糸が切れたように精神が折れて研究室に行けなくなることでしょう。
理想としては研究を楽しむという姿勢ですが、それができなくても休みたい時に休めることが必要になってくるでしょう。

参考: 成績は優秀だが「研究に向いていない」学生のタイプ

近年の変化

なお、近年では研究者に求められている素養も変化してきているように感じます。

きっかけの一つが国立大学の独法化であり、運営費交付金が毎年 1%ずつ削減されるようになったことです。
このため科学研究費助成事業(科研費)を始めとする競争的資金に応募して予算を獲得しなければならないという競争の激化が起こりました。
更に、任期なしの研究者の数が大きく減り、20代30代の若手研究者の殆どは任期付きです。
それどころか、40代になっても任期付きの博士研究員(Post-doctoral fellow、ポスドク)から抜け出せない高齢ポスドク問題まで起こっています。

これらの研究資金の原資は大部分が税金です。
このため、このような制度の設計を進めているのは文部科学省のいわゆる官僚の人々と言えるでしょう。
官僚の人々が勤める行政組織はジョブローテーションが激しく専門性が身につきにくい、顧客を選べない(納税者全員、つまり国民全体が顧客と言える)、組織構造は従うべき法令がきっちりしているという特徴があります。
このためバランス感覚や理不尽耐性、几帳面さやチームワークへの適応力・協調性が求められるといえます。
これらに強みを持つのは、MBTIで言うところのS型(現実型)やJ型(規範型)の人々と言えそうです。
実際SJ型の人々はエピメテウス型と言い、保護者気質とも呼ばれていて組織や集団への忠誠心や責任感が強いという特徴があります。

このタイプの人々とINTP型の人々は相性が悪いです。
目の前の義務を果たすという現実的な視点に重きを置いているSJ型の人々からすると、INTP型の人々は〆切やこれまでの話の流れをぶった切って気の赴くままに動いているように見え、ややもすると遊んでいるように見えます。
INTP型の人々からすると、これはより良い問題解決方法を導き出すために必要不可欠なことなので否定されると不満が溜まることでしょう。

その一方で、このタイプの人々とINTJ型の人々は相性が良いです。
おそらくINTP型とは異なり実行力もあることが大きいように思います。
アイデアが固まったら一直線に向かう、というのはINTP型にはない特徴です。
これは目の前の物事への対処を重視するSJ型の人々の好みにも合っていそうです。

この資本主義の世の中では、お金を出す側が強いのが当然の摂理です。
このため、官僚の人々に好まれやすいINTJ型の研究者が優遇されるという変化が起こります。
従って研究者に求められている素養もINTP型からINTJ型のものに変化してきているように感じます。

この変化が良いものか悪いものかはわかりませんが、官僚、もっと言うとその背後にいる納税者が望んでいるのならこの流れには逆らえないでしょう。


研究に向いていないのに大学院に進学してしまいしんどい思いをしているという院生の方もいらっしゃることでしょう。
私もそうで、現実主義が強すぎるため常に新奇的・独創的な発想が求められる環境が合わず実験も失敗続きで疲れてしまっています。

ただ、修士課程を修了するということに目標を絞るなら、そこまで自分自身を追い詰めなくても良いものだと思うのです。

ではでは。